home


市民の総意で
平和学習の文化財・史跡として残そう

設立にあたってのごあいさつ

 会長 十菱駿武


私は八王子市狭間町に住んでいる考古学研究者です。
日本の文化財や遺跡を守る文化財保存全国協議会の常任委員で、
八王子歴史教育者協義会や高尾浅川の自然を守る会に属しています。
1995年から戦争遺跡の調査保存に関わり、
松代大本営や横浜、川崎、山梨の戦跡に関する報告や保存交渉に加わりました。

さて、浅川地下壕の保存をすすめる会の設立のきっかけになったのは、
今年7月20日に長野市松代でもたれた「戦争遺跡保存全国ネットワーク」に
山梨事務局長とともに参加して、
松代大本営の保存をすすめる会にならって、
浅川地下壕の保存運動を盛り上げようと相談したことです。
これまでの自然保護運動や歴史教育実践の実績をもとに、
10団体が呼びかけをし、3カ月の準備会を重ねて
11月1日の設立総会となりました。
参加された皆様に感謝します。

浅川地下壕は今から53年前の1944年(昭和19)に
陸軍によって掘削され、
中島飛行機の地下工場として使用されたもので、
隼などの軍用飛行機のエンジンが作られました。
イ地区は工場となり、ロ地区ハ地区の地下壕は未完成でした。
延長10kmで碁盤目のようになる壕内に入ると、
コンブレッサーの部品や碍子がみられ、
ここで4000人もの方が労働した跡をしのぶことができます。
浅川地下壕の保存請願については6年前に八王子市議会で採択されており、
戦今体験が風化していくなか、
平和学習の文化財・史跡として保有することが必要です。

浅川地下壕の保存をすすめる会の今後の課題としては
まず浅川地下壕を大勢の住民・市民に知ってもらうために、
見学会や学習会を重ねます。
すでに斉藤勉副会長の「地下秘密工場」の著作がありますが、
見学ガイドブックの編集を進めたいのです。
また歴史学、文献史学・考古学、士木工学・科学技術史・地質学などの専門家とともに、
壕の内部の測量や調査を行いたいと思います。
地下壊の掘削に関わった人々の体験・証言を記録します。
その上で浅川史跡自然公園構想の具体化と文化財指定を促進します。
その際、地下壕の上に住んでおられる三和団地などの
住民の安全対策を十分に配慮したいと思います。
これらの事業を進める上で、
市教育委員会などの行政機関の支援がどうしても必要です。
市民の総意で地下壕の保存を進めるためにも、
生まれた本会をもっと大きくしていきたいと思います。

home

inserted by FC2 system